研究紹介

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石井キャンパス

昆虫生産分野

昆虫は新しいタンパク質資源として注目されています。モデル昆虫であるコオロギを用いて、発生を調節する遺伝子の働きや栄養機能性に関する研究を行います。成果を食用昆虫の生産性や機能性の向上に応用します。また、将来的なゲノム編集による育種を見据えて、発生や機能性などを制御するための技術開発を進めます。これらと並行して、食品残渣などを利用した飼料開発や、昆虫養殖の自動化などの研究を通じて、循環型タンパク質生産体制の確立と産業化を進めます。

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コオロギ養殖の基礎研究
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食用コオロギ粉末
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研究用フタホシコオロギ

食肉生産分野

2020年2月に完成した先端畜産システム開発施設(実験豚舎)を中心に、アニマルウェルフェアに配慮した畜産システムの研究、プロバイオティクスを用いた腸内細菌叢の変化と育種・肉質向上に向けた研究に取り組んでいます。また、最終産物である食肉加工品の腐敗コントロールを通じ、食品ロス削減に貢献し得る研究も推進しています。

動物資源研究分野

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臓器移植に提供される臓器の数は絶対的に不足しています。ブタは生理学的、解剖学的にヒトに近いことから、代替臓器または幹細胞由来の臓器再生動物として第一候補として考えられています。現在、ゲノム編集により膵臓欠損ブタ作製に成功した技術を活かして、ブタ体内で異種の臓器作製や疾病モデルブタ確立について取り組んでいます。また、先端医療技術を活用して家畜診療への応用を行っているほか、食の安心安全を実現するSPFブタの作製に取り組んでいます。

農業分野

未来の農業では、環境に優しい農業や安全・安心な農産物の生産技術が必要になります。我々は、完全閉鎖型 LED 植物工場における園芸作物または工芸作物の生育(栄養生長、生殖生長)や機能性成分の人工制御システムの開発を行い、さらに、目的の昆虫類や微生物などを共生させた閉鎖型人工生態系を構築することにより、新たな天然資源を開拓する研究を目指しています。将来的には「宇宙における閉鎖系の自立循環型栽培システム(持続可能な農作物生産を可能にする水耕栽培システム)の開発」にチャレンジし、循環型栽培の殺菌技術や有機性廃棄物を有効利用するリサイクル技術の開発などを通して、地上でのイノベーションを起こしたいと考えています 。

image21.png 水耕栽培棚.jpgspace_center.jpg

バイオエコノミー分野

農産物廃棄バイオマスから、有価物の生産プロセスを確立し、得られた利益を営農振興として農産物生産者に還元させるバイオエコノミーの社会実装を推進する。先ずは、スダチの果汁搾汁廃棄物から、精油の抽出プロセスを確立し、賦香応用原料の提供、残渣のカスケード利用による有価物の生産などサーキュラーエコノミーに関するロールモデル確立を目指す。また、全農徳島県本部とプラットフォームを構築し、これにより地域におけるバイオコミュニティの形成と循環型経済の実現を目指す。biorco.png

医療技術研究分野

ゲノム編集ブタの研究では、医学の力を活用することにより、1型糖尿病治療のための人工膵島提供用ブタの開発、ブタから人への異種移植用臓器の開発や新規治療薬等の開発、コオロギに関する研究では、コオロギを活用した機能性医療素材開発などを進めています。当分野では、このような医/農融合による創薬や先端医療技術開発の共創環境を実現するとともに、生物・医療系新産業のスタートアップ創出を目指しています。

医療教育研究分野

モデルブタを活用し、人体では実施できない低侵襲手術トレーニングの実施を通じた医療技術・機器、新規手技及び教育プログラム等の研究開発を行っています。近年の内視鏡下手術やロボット支援手術に代表される低侵襲手術は医療現場の負担を軽減し、人手不足の解消ひいては医師の働き方改革に貢献していますが、医療技術や機器等について人体では試すことのできないことでも、生理学・解剖学的にヒトに近いブタ等を活用することによって新たな医療技術・医療機器の開発が可能になります。また、医学部に設置されているクリニカルアナトミーラボ(未固定遺体)、スキルスラボ(医療手技・技能トレーニング)とともに三位一体でトレーニングを行う新規手技及び教育プログラムの研究開発も行っています。image6.png

鳴門キャンパス

藻類生産分野・水産分野

様々な大型海藻をスクリーニングし、食用途となる新しい種類や有用な機能性成分の検索を行っています。海藻の成長や成分生産に特化した至適培養条件の検索、応用研究では実用化レベルでの陸上養殖システムの技術開発に取り組んでいます。また、里海や里川の実現をめざし、地域のみなさん自身が生産性を高めるための技術開発を進めています。河川における魚道工法の開発、徳島県沿岸に適合した海藻の海面養殖技術の開発とその生産品を使っての6次産業化の推進、そしてLEDを利用した水産資源増殖や新漁業の創出にもチャレンジしています。

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新野キャンパス

林産科学分野

“樹木をつ くる””林産物を生活でつかう“”樹にもどす“という「林業」と「林産業」の要である森林資源循環利用を収益ある体系にするため、付加価値のある林産物を調製する研究を行っています。学問的基礎は、森林に生息するきのこの代謝科学です。木材を腐らせるきのこ等に、耐腐朽性の高い製材品を生む技術開発に取り組んでいます。きのこの香り、有用物質の含有量を、将来的にはゲノム編集により制御する基盤を作るため、代謝機構の解明を進めています。

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高大連携分野

世界的に希少な植物の盗採掘があとを絶たない問題を受け、2015年に国連が採択した「持続可能な開発目標 (SDGs)」の目標の一つに「陸の豊かさも守ろう」があり、環境保全・保護活動への関心が高まっています。徳島県においても、県が絶滅危惧 IA類に指定した希少植物「イシマササユリ」の保護活動などが行われており、先駆けてササユリの培養・育成に取り組んだ新野高校(現:阿南光高校)によりバイオ球根が開発され、その球根の移植による保護活動や生態調査などが30年以上続けられています。そこで、県内のササユリなどの希少植物の貴重な遺伝資源を保護・利用することを目的とする高大連携による研究開発の推進を目指しています。また、高大連携については、農林水産業とその関連分野についての授業等も実施しています。

常三島キャンパス

農業機械工学分野

安心・安全で高品質な植物を安定供給可能な植物生産システムの構築を目指して、時間分解能と空間分解能がともに高い精密環境モニタリングシステムの開発と人工知能を用いた気象予測に基づく環境制御および潅水制御システムの研究にも取り組んでいます。また、管理・収穫・運搬作業の負担軽減や労働力不足への対応として、自律型農作業支援ロボットの研究も進めています。さらに、マルチコプタ型ドローンや水上ドローンといった無人機システムの農業分野への応用を行っています。プラットフォームとしての無人機開発をベースに、果樹一本単位での農薬散布、農作物の生育状況の計測、収穫した農作物の運搬、害鳥・害獣の追い払いといったスマート農業の要素技術実装を目指しています。

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農業経済分野

近年、顕著にみられる“食と農”に関する経済的諸課題の改善・解決の方向性を見定める為に、農業経済分野における農産物流通や農業振興を軸とした研究を行っており、直近は先進国のローカルフード・有機農業運動にも注目しています。その際、農業を含めた一次産業サイドの持続・活性化を最も重視しています。実際、産地マーケティングや6次産業化の成功・実現は生易しいものではなく、また、経済的側面以上に1次産業の持続、地域の維持が急務な時代に突入しています。その為、状況改善に向けた諸活動に焦点を当てて、それらが有する可能性や諸条件を検討・解明することを目指しています。

地域創生分野

地域に住む人々の暮らしを多様な面から豊かにすることを目的としています。その方法は多様であるため、教員それぞれの視点で実践的な取り組みを進めています。近年「コミュニティ」は自立を求められており、「食」「環境」「一次産業」など全体をマネジメントし「稼げる」地域社会づくりの構想と実践が要重となります。地域住民との意見交換やワークショップを通じて、住民の主体的な取り組みを育むプロセスデザインヘのサポート、実際の「組織」作りを行い、持続可能な地域創生を目指します。

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出典)『熊本城東マネジメントアニュアルレポート2009-2010』(アドバイザーとして参画)より一部加筆修正

蔵本キャンパス

医科学分野

消化器癌の診断、治療に関わる新規手法の開発および消化器疾患の病態解明を目的とし、基礎研究や臨床研究を進めています。研究テーマとしては、新規蛍光プローブを用いた消化器癌の内視鏡診断およびそれらの光治療への応用研究、大腸癌オルガノイドを用いた大腸発癌の機序の解析、大腸オルガノイドを用いた発癌予防薬の開発、膵癌と脂肪細胞の相互作用の解析、消化器癌に特異的に発現する分子の解析と新しい抗癌剤の開発、等々を行っています。 また、肺癌、食道癌、乳癌、甲状腺癌の新規診断法・手術法の開発を臨床研究として進めています。同様に、それらの癌に対する基礎研究として、予後や薬物療法の感受性に関する新たなバイオマーカーの発見、また甲状腺未分化癌の薬剤耐性に対する新規治療の開発のためのin vivo/in vitroでの研究なども行っています。加えて、肺の再生医療についても同時に行っています。具体的には、肺の局所幹細胞に着目し、ラット胎仔肺組織を用いた移植研究やマウスiPS細胞を用いた幹細胞への誘導、また肺オルガノイド作成などにも取り組んでいます。

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細菌・殺菌分野

食の安全安心を確保することを目標に、食中毒原因菌の病原性解析、食中毒の予防法の開発を中心に研究・開発を行っています。さらに腸内細菌の栄養管理への応用を目指した研究・開発を行い、食中毒原因菌の病原性解析、食の安全安心を確保することを目標に、食中毒原因菌の病原性解析では、食中毒の発症機序にもとづいた特異的治療法の開発を目指しています。特に腸管細菌感染症による下痢疾患の治療には栄養補給も大切であり、抗生物質のみに頼らない治療法、予防法の開発を目指しています。また、食中毒の予防法の開発では、新しい食品等の殺菌法の開発を行い、実地(現場)への応用を検討しています。腸内細菌の栄養管理への応用として、ヒトの腸管の中には、1000種類以上の細菌が共生し腸内細菌叢を形成して、腸管における、消化吸収障害などの様々な機能に関与していることが明らかとなっていますので、腸内細菌叢と栄養素の吸収分泌能の関係を明らかにし、栄養状態を改善させる方法の開発を目指しています。

宇宙栄養学分野

ロケットに乗って宇宙に飛び出すと、そこは無重力の世界。宇宙に長期間滞在すると、筋肉や骨がぐんぐん衰弱し、地上に戻った時に自力で立てないことさえあります。無重力下で筋肉などが萎縮するメカニズムを解明し、その栄養学的予防法を開発しています。宇宙生物学は、未来=高齢化社会の実験場でもあります。「食事」の機能性を介して人類の宇宙探査や超高齢社会のわが国の福祉に貢献していきます。

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